相続税専門のスタッフでも迷ってしまう難解事例

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

税理士法人チェスターでは、相続税専門の税理士法人として、開業以来10年間で
3,200件超(平成29年12月時点)の相続税申告のお手伝いをさせていただいており、
相続税専門スタッフとして経験を積んだ熟練のスタッフも多数在籍しております。

しかし、そのような熟練したスタッフでも判断に迷う事例は多数あります。

税理士法人チェスターには、
そのような事例を専門的に取り扱う「審査部」という部署があり、
そこには相続税申告件数年間1,000件を超える中からより難解、
または、勘違いしやすい様な事例が全て集まってきます。
その審査部所属の高橋がどのようにタックスアンサーを参考にし、検証しているかその一例について公開します。

1.事例

  • 相続人が○○企業年金基金から未支給年金を受け取った。
  • ○○企業年金基金は、確定給付企業年金法に基づき設立された基金である。
  • 被相続人は、生前、老齢給付金を受給していた。
  • 老齢給付金の保証期間は15年。
  • 支給開始は60歳。
  • 被相続人の年齢は90歳のため、保証期間はすでに経過している。

つまり、相続人が確定給付企業年金の未支給年金を受け取ったという事例になります。

2.質問

担当者の質問内容は次の通りになります。
相続人が受け取った未支給年金は、相続財産として計上すべきか?

2-1.質問の経緯

本事例の処理方法を検討するため、担当者はインターネットで「確定給付企業年金 未支給年金 相続税」と検索し出てきたタックスアンサーを参考に検討したところ、本当にその通りに取り扱っていいのか疑問が出てきたためです。

3.タックスアンサーと質問の照合

本事例の担当者が参考にしたタックスアンサーは次のものになります。

1.厚生年金や国民年金などの遺族年金
厚生年金や国民年金などの被保険者であった人が亡くなったときは、遺族の方に対して遺族年金が支給されます。また、恩給を受けていた人が亡くなった場合には、遺族の方に対して遺族恩給が支給されます。
次の法律に基づいて遺族の方に支給される遺族年金や遺族恩給は、所得税も相続税も課税されません。
国民年金法、厚生年金保険法、恩給法、旧船員保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、旧農林漁業団体職員共済組合法
(注)これらの法律に基づいて支払を受ける年金の受給権者が死亡した場合において、その死亡した人に支給されるべき年金給付のうちまだ支給されていなかったもの(未支給年金)があるときには、その受給権者の遺族で一定の要件に該当する人がその人の名前でその未支給年金の支給を請求することができます。
この遺族が支払を受ける未支給年金は、その遺族の固有の権利に基づいて支払を受けるものですので、その遺族の一時所得の収入金額に該当します(これらの法律の規定により課税されないものとされているものを除きます。)。

2.確定給付企業年金法などに基づく遺族年金
遺族の方に支給される以下の年金などは、相続税の課税の対象になりますが、毎年受け取る年金には所得税が課税されません。
(1)確定給付企業年金法第3条第1項に規定する確定給付企業年金に係る規約に基づいて支給される年金
(2)所得税法施行令第73条第1項に規定する特定退職金共済団体が行う退職金共済に関する制度に基づいて支給される年金
(3)法人税法附則第20条第3項に規定する適格退職年金契約に基づいて支給を受ける退職年金
(所法9、35、所令82の2、所基通9-2、相法3、相基通3-46)
出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1605.htm)

  上記のタックスアンサーと質問を照らし合わせてみましょう。

3-1.確定給付企業年金法は相続税が課税されるのか

2のタックスアンサーの赤字部分を抜粋すると次のように記載されています。

次の法律に基づいて遺族の方に支給される遺族年金や遺族恩給は、所得税も相続税も課税されません。
国民年金法、厚生年金保険法、恩給法、旧船員保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、旧農林漁業団体職員共済組合法

列挙されている法律には所得税も相続税も非課税と記載されていますが、今回の事例である確定給付企業年金法は含まれていないことがわかりました。

3-2.未支給年金は所得税に課税されるのか

2のタックスアンサーの青字部分を抜粋すると次のように記載されています。

これらの法律に基づいて支払を受ける年金の受給権者が死亡した場合において、その死亡した人に支給されるべき年金給付のうちまだ支給されていなかったもの(未支給年金)があるときには、その受給権者の遺族で一定の要件に該当する人がその人の名前でその未支給年金の支給を請求することができます。

この遺族が支払を受ける未支給年金は、その遺族の固有の権利に基づいて支払を受けるものですので、その遺族の一時所得の収入金額に該当します(これらの法律の規定により課税されないものとされているものを除きます。)。

上記の抜粋を参照すると未支給年金は一時所得であると解説がなされているので所得税が課税されるかのように受け取れてしまいます。

しかし、黄色でマーカーされた「これらの法律に基づいて支払を受ける年金」という解説は3-1に列挙された法律が対象となります。

このことから未支給年金であってもすべてが所得税というわけではないことがわかります。
確定給付企業年金は一時所得にはならないということもわかるわけです。

3-3.確定給付企業年金は相続税の課税対象になるのか?

2のタックスアンサーの緑字部分を抜粋すると次のように記載されています。

遺族の方に支給される以下の年金などは、相続税の課税の対象になりますが、毎年受け取る年金には所得税が課税されません。

(1)確定給付企業年金法第3条第1項に規定する確定給付企業年金に係る規約に基づいて支給される年金

上記の緑字の抜粋箇所により「確定給付企業年金法は相続税の課税の対象になる」という風に読み取れます。

4.検証

ここまでのタックスアンサーを参考にすると「確定給付企業年金法は相続税の課税の対象になる」とも読めますが、本当にその通りに扱ってよいのでしょうか?

本事例の担当者は次のような不安が生まれたようです。

  • 何か見落としがあるのではないか?
  • 何故相続税の課税対象となるのに納得のいく説明ができるのか?

その不安を解消するための理解・検証方法について税理士法人チェスター審査部高橋が実際にあった事例を元に、タックスアンサーの表面にとらわれないようにするにはどのように対処すべきかを本DVD「チェスターが社内研修で使用する相続実務相談事例集 Vol.1」で解説いたします。

本DVDでは上記以外にも次のように
税理士法人チェスターが実際に採用した解決策等を徹底解説します。

  1. 高度利用地区の壁面位置の制限による歩道状空地の評価
  2. 公益法人(非収益事業)に使用貸借で土地を貸している場合の評価
  3. 無道路地評価における地区区分の判定
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。