広大地の評価パーフェクトガイド

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※2018年1月以降発生の相続について、「広大地評価」は適用できません。代わりに「地積規模の大きな宅地の評価」が新設されています。※

 評価対象地は周辺の土地に比べて著しく地積が大きく、課税時期において駐車場用地として利用しています。また、近年この周辺は一戸建て住宅の開発が多く見受けられます。

1. 広大地の評価方法の概要

 広大地の評価については、財産評価基本通達22-2及び24-4にて、次のように規定されています。

1-1. 広大地の定義

広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で、都市計画法第4条12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるものをいいます。

ただし、大規模工場用地に該当するもの及び中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているものは除きます。

 なお、以下の語義については留意すること

  1. 都市計画法第4条12項に規定する開発行為
    1. 道路、公園等の公共施設の用に供される土地及び教育施設、医療施設等の公益的施設の用に供される土地をいいます。
  2. 大規模工場用地
    1. 一団の工場用地の地積が50,000㎡以上のものをいいます。(ただし、路線価地域においては、大工場地区として定められた地域に所在するものに限ります)
  3. 中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの
    1. その宅地について経済的に最も合理的であると認められる開発行為が中高層の集合住宅等を建築することを目的とするものであると認められるものをいいます。(以下『マンション適地』といいます)

1-2. 広大地の評価額の計算方法

 広大地の価額は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次のとおり計算した金額によって評価します。

  1. 広大地が路線価地域に所在する場合
  2. 広大地が倍率地域に所在する場合
    • その広大地が標準的な間口距離及び奥行距離を有する宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額を、上記①の算式における「広大地の面する路線の路線価」に置き換えて計算します。

2. 広大地の判定要素

 該当の土地が「広大地」に該当するかどうかは、以下の要素をもとにして判定します。

2-1. 大規模工場用地に該当しないこと

 大規模工場用地は、用途地域が『工業専用地域』、路線価地域においては『大工場地区』に所在するものに限られるため、評価対象地が『工業地域』や『準工業地域』内に所在する場合は広大地適用の検討をする必要があります。

2-2. マンション適地に該当しないこと

 評価対象地が、マンション適地かどうかの判断については、その宅地の存する地域の標準的使用の状況を参考とすることになります。

 しかし、戸建住宅と中高層の集合住宅等が混在する地域(主に都市計画により指定された容積率(指定容積率)が200%以下の地域)にある場合には、最有効使用の判定が困難な場合もあることから、例えば、次の①や②のように「マンション適地」に該当すると判断できる場合を除いて、「マンション適地」には該当しないこととして差し支えないとされています。

① 社会的、経済的、行政的見地から、中高層の集合住宅等の敷地用地に適している
その地域における用途地域・建ぺい率・容積率や地方公共団体の開発規制等が厳しくなく、交通、教育、医療等の公的施設や商業地への接近性(社会的・経済的・行政的見地)から判断して中高層の集合住宅等の敷地用地に適していると認められる場合

② 周辺地域の中高層の集合住宅への移行が相当程度進んでいる
その地域において実際に中高層の集合住宅等が建てられており、また、現在も建築工事中のものが多数ある場合、つまり、中高層の集合住宅等の敷地としての利用に地域が移行しつつある状態で、しかもその移行の程度が相当進んでいる場合

 一方、指定容積率が『300%以上』の地域内にある場合には、戸建住宅の敷地用地として利用するよりも中高層の集合住宅等の敷地用地として利用する方が最有効使用と判断される場合が多いことから、原則として『マンション適地』に該当することになります。

 地域によっては、指定容積率が300%以上でありながら、戸建住宅が多く存在する地域もありますが、このような地域は指定容積率を十分に活用しておらず、 将来的にその戸建住宅を取り壊したとすれば、中高層の集合住宅等が建築されるものと認められる地域か、あるいは、道路の幅員などの何らかの事情により指定容積率を活用することができない地域であると考えられます。

 したがって、 道路幅員などのような例外的な場合を除き、評価対象地が存する地域の指定容積率が300%以上である場合には、『マンション適地』と判断することになります。

(国税庁 質疑応答事例)

 なお、容積率が300%未満であっても評価対象地が駅近辺(例:徒歩10分以内)に所在している場合は、最有効使用の観点から『マンション適地』に該当する可能性が高いと思われます。

2-3. 中高層の集合住宅等の範囲

 中高層の集合住宅等には、以下の①や②のような住宅が該当します。

① 中高層住宅
 原則として『地上階数3以上』のものをいいます。

② 集合住宅等
 分譲マンションや賃貸マンション等をいいます。

2-4. その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大であるかどうか

① 『その地域』の判断
 原則として、評価対象地周辺の下記の事項などを総合勘案し、利用状況、環境等が概ね同一と認められる、住宅、商業、工業など特定の用途に供されることを中心としたひとまとまりの地域を指すものをいいます。これを「同一需給圏」といいます。

  1. 河川や山などの自然的状況
  2. 土地の利用状況の連続性や地域の一体性を分断する道路、鉄道及び公園などの状況
  3. 行政区域
  4. 都市計画法による土地利用の規制等の公法上の規制など、土地利用上の利便性や利用形態に影響を及ぼすもの

なお、実務上は『その地域』の範囲が明確に規定されていないため、慎重に判断することが必要です。

② 『標準的な宅地の地積』の判断
 評価対象地の付近で状況の類似する地価公示の標準地又は都道府県地価調査の基準地の地積、評価対象地の付近の標準的使用に基づく宅地の平均的な地積などを総合勘案して判断します。実務上は、まず評価対象地の所在する地域の宅地開発における『最低敷地面積』を開発指導要綱で確認し、戸建開発が行われた箇所の『開発登録簿』を取得して『標準的な宅地の地積』の判断材料を揃えます。

③ 『著しく地積が広大であるかどうか』の判断
評価対象地が都市計画法施行令第19条1項、2項の規定に基づき各自治体の定める開発許可を要する面積基準(以下「開発許可面積基準」といいます。)以上であれば、原則として、その地域の標準的な宅地に比して著しく地積が広大であると判断することができます。
なお、評価対象地の地積が開発許可面積基準以上であっても、その地域の標準的な宅地の地積と同規模である場合は、広大地に該当しません。

【国税庁HPより抜粋】
[面積基準]
イ 市街化区域、非線引き都市計画区域及び準都市計画区域(ロに該当するものを除く。) ・・・都市計画法施行令第19条第1項及び第2項に定める面積(※)

※(イ)市街化区域
三大都市圏  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 500平方メートル
それ以外の地域 ・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1,000平方メートル
 (ロ)非線引き都市計画区域及び準都市計画区域  ・・・・・・・・ 3,000平方メートル
ロ 非線引き都市計画区域及び準都市計画区域のうち、用途地域が定められている
区域・・・・・・・・・・・・・・・・・・・市街化区域に準じた面積

(注)

  1. 都道府県等の条例により、開発許可面積基準を別に定めている場合はその面積によります。
  2. 三大都市圏とは、次の地域をいいます。
    1. 首都圏整備法第2条第3項に規定する既成市街地又は同条第4項に規定する近郊整備地帯
    2. 近畿圏整備法第2条第3項に規定する既成都市区域又は同条第4項に規定する近郊整備区域
    3. 中部圏開発整備法第2条第3項に規定する都市整備区域
  3. 「非線引き都市計画区域」とは、市街化区域と市街化調整区域の区域区分が行われていない都市計画区域をいいます。
  4. 「準都市計画区域」とは、都市計画区域に準じた規制が行われ、開発許可制度を適用し、用途地域、特定用途制限地域、風致地区などを定めることができる都市計画区域外の区域をいいます。

2-5. 公共公益的施設用地の負担が必要であること

広大地の評価は、戸建住宅分譲用地として開発した場合に相当規模の公共公益的施設用地の負担が生じる宅地を前提としています。そして、「公共公益的施設用地の負担が必要と認められるもの」とは、経済的に最も合理的に戸建住宅の分譲を行った場合にその開発区域内に道路の開設が必要なものをいいます。

したがって、例えば、次のような場合は、開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担がほとんど生じないと認められるため、広大地には該当しないことになります。

  1. 公共公益的施設用地の負担が、ごみ集積所などの小規模な施設の開設のみの場合
  2. セットバック部分のみを必要とする場合
  3. 間口が広く、奥行が標準的な場合
  4. 道路が二方、三方又は四方にあり、道路の開設が必要ない場合
  5. 開発指導等により道路敷きとして一部宅地を提供しなければならないが、道路の開設は必要ない場合

    セットバックを必要とする土地ではありませんが、開発行為を行う場合に道路敷きを提供しなければならない土地部分については、開発区域内の道路開設に当たらないことから、公共公益的施設用地の負担には該当しません。

  6. 路地状開発を行うことが合理的と認められる場合
    路地状開発とは、路地状部分を有する宅地を組み合わせ、戸建住宅分譲用地として開発することをいいます。
  7. なお、「路地状開発を行うことが合理的と認められる」かどうかは次の事項などを総合的に勘案して判断します。

    1. 路地状部分を有する画地を設けることによって、評価対象 地の存する地域における「標準的な宅地の地積」に分割できること
    2. その開発が都市計画法、建築基準法、都道府県等の条例等の法令に反しないこと
    3. 容積率及び建ぺい率の計算上有利であること
    4. 評価対象地の存する地域において路地状開発による戸建住宅の分譲が一般的に行われていること

3. 広大地評価にあたっての留意点

 広大地の評価額を算出するに当たっては、以下の点に留意すること

3-1. 路線価が2以上ある場合

広大地の面する路線の路線価が2以上ある場合には、原則として、最も高い路線価とします。

3-2. 広大地補正率について

広大地として評価する宅地は、5,000㎡以下の地積のものとされています。したがって、広大地補正率は0.35が下限となります(地積が、5,000㎡を超える広大地であっても広大地補正率の下限である0.35を適用して差し支えありません。)。なお、広大地補正率は端数整理を行いません。

3-3. 広大地として評価しない場合

 広大地評価により計算した価額が、その広大地を財産評価基本通達11(評価の方式)から21-2(倍率方式による評価)まで及び24-6(セットバックを必要とする宅地の評価)の定めにより評価した価額を上回る場合には、広大地として評価せずに同通達11から21-2、及び24-6の定めに従って、通常どおりの評価をします。

3-4. 市街化調整区域内に評価対象地が所在する場合

 市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域で、原則として、周辺地域住民の日常生活用品の店舗や農林漁業用の一定の建築物などの建築の用に供する目的など、一定のもの以外は開発行為を行うことができない区域です。そのため、市街化調整区域内の宅地は、通常、広大地の評価を行うことはできません。

 しかし、都市計画法の規定により開発行為を許可することができることとされた区域内の土地等(例えば、都市計画法第34条第11号の規定に基づき都道府県等が条例で定めた区域内の宅地)で、都道府県等の条例の内容により戸建分譲を目的とした開発行為を行うことができる場合には、市街化調整区域内の宅地であっても広大地の評価における他の要件を満たせば広大地の評価を行うことができます。

3-5. 広大地評価との重複適用の可否

広大地評価と、それ以外の財産評価基本通達との重複適用の可否は下記のとおりです。

※見切れている場合は右にスワイプして下さい

財産評価基本通達 可否
15(奥行価格補正) ×
16(側方路線影響加算) ×
17(二方路線影響加算) ×
18(三方又は四方路線影響加算) ×
20(不整形地の評価) ×
20-2(無道路地の評価) ×
20-3(間口が狭小な宅地等の評価) ×
20-4(がけ地等を有する宅地の評価) ×
20-5(容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価) ×
24-6(セットバックを必要とする宅地の評価) ×
24-7(都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価)
27-5(区分地上権に準ずる地役権の評価)
40-3(生産緑地の評価)

3-6. 不動産鑑定士の意見書

 広大地に該当するかどうかの判定は相続税の財産評価上最も難しいものと考えられます。広大地の判定を一つでも誤ることで評価額は大きく変わり、相続税に与える影響が非常に大きくリスクを伴います。逆に言えば、広大地評価ができることで相続税の大幅な節税が可能となります。

 広大地は非常に個別性の強いものであるため、広大地の判定にあたって自身で判断できない場合には、不動産評価のプロである不動産鑑定士へ意見を求め、広大地の意見書の作成依頼を検討する必要があります。

4. 設例の評価計算

4-1. 広大地の評価

500千円×0.55(*1)×1,000㎡=275,000千円
(*1)広大地補正率の計算

0.6‐0.05× 1,000㎡ =0.55
1,000㎡

(参考)広大地評価を適用しない場合の評価額)
500千円×0.92(*2)×1,000㎡=460,000千円
 (*2)奥行40mに対する奥行価格補正率
  ⇒ 上記の広大地評価額との差額 185,000千円

※見切れている場合は右にスワイプして下さい

≪参考≫ 広大地判定のフローチャート

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