がけ地がある宅地の相続税評価

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 評価対象地(自宅敷地、普通住宅地区に所在)は、建物の背後と側面が崖(がけ)になっています。
 がけ地部分は、その部分を単独で山林や雑種地として評価単位を分けられるものではなく、あくまで宅地の一部と判断できます。
 がけ地部分の斜度が45度以上の急斜面なので、通常の用途には使用できません。

1.がけ地がある宅地の評価方法の概要

 通常の用途に供することができないと認められるがけ地等を有する宅地の評価は、がけ地補正率による減額を行い評価します。

 山や斜面を切り開いて宅地開発された土地では、平坦な建物敷地部分と擁壁であるがけ地部分を有することがよくあります。
 平坦な建物敷地部分の有効面積を増やすため、がけ地部分は急斜面になっていることが多く、がけ地部分は通常の用途に供することができません。

 このようにがけ地部分が通常の用途に使用できず、通常の評価を行うと土地の評価額が高くなってしまう宅地については、がけ地補正率を乗じて、土地の評価額を減額します。(評基通20-4)

2. 語義の定義

2-1. がけ地

 がけ地補正率を適用できるがけ地等とは、財産評価基本通達では明確に定められていませんが、一般的に斜度30度以上の急傾斜地・法面のことを指します。
 斜度30度未満の傾斜地を有する宅地の場合には、実務上がけ地としては評価せず、「利用価値が著しく低下している宅地」の10%評価減等を検討します。

2-2. がけ地の方位

 がけ地補正率表に記載されている方位は、斜面の向きによります。

2-3. がけ地補正率

 がけ地補正率は、がけ地の方位に応じて次のとおり定められています。

3. がけ地がある宅地の評価にあたっての留意点

3-1. 評価単位が宅地であること

 がけ地補正を適用できるがけ地は、平坦部分とがけ地部分が一体とされる宅地が前提となっています。ここで想定されているのは、ヒナ段式に造成された住宅団地にみられるような、擁壁部分(自然擁壁又は人口擁壁の別は問いません)を有する宅地です。

 よって、がけ地部分の課税時期の地目が山林や雑種地などである場合、宅地とは別に評価をする場合には、がけ地補正率は適用できません。

 なお、がけ地は採光、通風等により、平坦な宅地部分への効用増に寄与すると認められる要素もあるため、それを考慮して方位ごとに補正率が定められています。

3-2. 中間方向を向いているがけ地

 「がけ地補正率表」に定められた方位の中間を向いているがけ地は、それぞれの方位のがけ地補正率を平均して求めます。
 なお、「北北東」のような場合には、「北」のみの方位によることとしても差し支えありません。

3-3. 2方向に斜面を有するがけ地

 2方向以上にがけ地を有する宅地のがけ地補正率は、各方位別のがけ地の地積を加重平均して算出します。

 まず、評価対象地の総地積のうち、がけ地部分の総地積が占める割合を算出し、その割合に応ずる各方位別のがけ地補正率を求めます。

 次に、それぞれのがけ地部分の地積に、それぞれのがけ地補正率を乗じたものを合計し、その合計額をがけ地の全体地積で除した割合をがけ地補正率とします。

3-4. 宅地造成費との重複適用不可

 がけ地補正は宅地として評価を行う場合に適用します。一方、宅地造成費は宅地でない地目(雑種地、山林、農地、原野等)の土地の評価を行うときに、通常の宅地に転用する場合にかかる造成費相当額です。

 よって、宅地の一部であるがけ地の評価をする場合に、宅地でない土地を評価するときに使う宅地造成費を適用することはできません。

4. 設例の評価計算

4-1. がけ地補正率

4-2. 評価額

 170千円×1.00(*1)×0.96(*2)×0.84(*3)×430㎡ = 58,947,840円
  (*1)奥行価格補正率
  (*2)不整形地補正率
  (*3)がけ地補正率

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