相続専門税理士として今開業しても成功しない理由を説いてみます

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まず初めに簡単に自己紹介をします。税理士法人チェスターという相続専門の税理士事務所の代表をしております福留と申します。

今から8年前に相続専門税理士として開業し、現在は所属税理士16名、会計士4名、グループ総勢53名、東京・横浜・大阪に事務所を構えています。
今でも、仕事の99%は相続関連のお仕事で法人の顧問先はほとんど持たず、相続専門を貫いています。

そんな私がこのブログを書こうと思ったのには次のような理由があります。

ここ最近、士業とりわけ税理士業界の中で、過剰なほど相続ブームが起きています。税理士事務所の営業支援を謳う会社などが相続、相続と煽るので、誰もかしこも「時代は相続だ!」となっているように思います。

しかし、本当にそうでしょうか??

平成27年に相続税制が改正され基礎控除が下がり相続マーケットが急拡大!?

ご存じの通り、平成27年1月1日に相続税制が改正されました。これにより今まで相続税の課税対象外の人が相続税申告をする必要が出てきて、相続税申告のマーケットが急拡大する、と言われていました。

しかし、本当にそうでしょうか?

まだ、税制改正後の統計上の数値が出ているわけではありませんが、税制改正前でざっくりと年間の相続税申告件数が約5万件、改正後でもこれが1.5倍~2倍になるという予想です。

この数字だけを聞くと確かに魅力的かもしれません。
ただ、そもそも、登録税理士は全国に約7万件、申告件数が2倍の10万件になったとしても、

10万÷7万=1.4件。1人当たり年間1.4件という数値。

これってすごいでしょうか!?

また、例えば、税制改正前に相続税申告を100件やっていた事務所がこの改正の影響を受けて、案件が2倍になって200件になればそれはそれですごいことだと思います。

しかし、そもそも相続税申告案件を年間100件もやっている事務所なんて、そうそうありません。一般的事務所ですと、年数件、多くても数十件でしょう。そんな事務所にとっては、案件が1.5倍や2倍になってもそれほどすごいことではないと思います。

さらに、相続税申告業務を受任する難しさは後述しますが、そもそも継続的に多くの件数を受任すること自体が難しく、それは税制改正後や改正前であってもまったく変わりません。改正されたから受任しやすくなった?!それは、前述の数字のマジックに騙されていますので、ここで一旦冷静になってください。

相続税申告案件を継続的に受任するのはなぜ難しい!?

16461983 - stressed woman working on computer

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相続税申告の営業をするよりも、法人税の顧問先の開拓の営業の方が、100倍簡単だと思います。

税理士として開業して、様々な人が集まる交流会に参加して名刺交換したり、銀行に挨拶周りに行ったり、知りい合いに社長を紹介してもらったり、税理士会の活動を頑張っていれば、着実に法人税の顧問先は増やせます。

多少、不器用でも正面突破の営業で開業当初自分ひとりが食っていく売上を上げるのはさほど難しくないでしょうか。これは、税理士という資格に守られているという理由が大きいと思います。

これは実際私も開業当初経験しています。いろいろな交流会や人が集まる場所に参加して数えきれないほど名刺交換をしました。そうすると、「顧問税理士を変えたいと思っているんだよ」とか「起業しようと思っていて税理士を探しているんだよ」というお話しは、けっこう頂けるものです。

それに比べて相続税申告業務はどうでしょうか?どこに営業に行きますか?

お金持ちの人の葬儀会場に行って、「相続税申告をやっている税理士です。よろしくお願いします」と営業活動をする勇気はなかなか持てないでしょう。

また、飛び込みで何の実績もない税理士が金融機関に行っても門前払いされます。そもそも、金融機関の一支店が紹介できる相続税申告案件をそもそもそれほど握っていません。ちなみに、全国の銀行の支店数はゆうに1万を超えます。単純に10万件を店舗数の1万で割っても1店舗当たり年間10件、もちろんすべての案件を銀行が握ってるわけもないのでそれほど魅力的な数字ではないことはお分かり頂けると思います。

一番案件を握ってそうな、金融機関でさえこのような現状です。次に誰もが考えるのが葬儀社、証券会社、保険会社等ですが、これらに営業にいっても継続的に相続税申告の案件を紹介してもらうのは非常に難しいでしょう。ここでは、なぜ難しいかの記述は省略させて頂きます。

じゃあWEB集客はどうなのか??

36049307 - business, people, teamwork and planning concept - smiling business team with marker and light bulb doodle working in office

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では、「〇〇相続サポートセンター」というような、事務所のブランドとは別に新たなサービスラインでホームページを作って、GoogleやYahoo!にリスティング広告を出して集客をしましょう!と、コンサルティング会社に提案を受けて、実際に実行されておられる会計事務所は多く存在します。

そんなHPを見て、「自分たちもできそうだ!」と、一念発起して予算100万円くらいをかけて綺麗なHPを作ってそこから集客することを考えて相続専門税理士として開業しよう!

と考えてはいけません…。

なぜか?

「綺麗なHPとリスティング広告のWEB集客だけでは利益が出せない時代」

だからです。

税理士法人チェスターが開業した2008年当時には、相続税の報酬体系をHPで明瞭に開示している会計事務所はほぼ皆無でした。また、リスティング広告を積極的に出している事務所もほぼおらず、「相続税 税理士」と検索すれば自分の事務所が容易に上位に表示されていました。

ただ、現状は違います。

東京ですと、ある程度資本力のある会計事務所や税理士紹介会社が月額何百万もの予算をかけてリスティング広告を行っています。また広告を出していないまでも、相続税専門の税理士事務所として綺麗なHPを作っている会計事務所は、関東ですとゆうに100は超えるでしょう。

このような競合がひしめく市場は、もはやブルーオーシャンどころか、立派なレッドオーシャンです。

きちんとした差別化ができていないと勝ち目はありません。

「よしっ!では、報酬を下げよう!最安値にしよう」

無理です。相続税申告は、安ければ売れるという単純なサービスではありません。

「若い税理士がやっていることを売りにしよう!」

相続税の業務において、「若さ」は逆に不利です。顧客層は50代~60代の方がメインです。

「過去の経歴・実績を売りにしよう」

大手の○〇税理士法人に勤務していました、、というような独立税理士は数えきれないほどいます。。
あまり差別化にならないでしょう。

地方だったら競合がいないからいけるんじゃないか?

関東、関西、愛知などでは競合がひしめくレッドオーシャンだけど、それ以外の地方都市なら競合が少ないのでまだいけるんじゃないか?とお考えでしょうか。

確かに可能性はあるかもしれません。
特に、地方の相続税申告案件を握っているJA等の金融機関と提携をすることができればある程度の件数は確保できるかもしれません。

ただ、WEB集客は難しいでしょう。
国税庁の統計で年間の相続税申告件数を簡単に調べることができます。例えば広島県。

平成26年の実績値で、年間1281件

の相続税申告が行われています。

このうち、1拠点の会計事務所の商圏でカバーできるのは都市部においたとしても、良くて半分でしょう。そのうち、2割くらいは税理士を付けずに自身で申告していると考えると、1281件×50%×80%=512件。

さらに、このうち、ネットで税理士を探す人が一体どのくらいの割合いるのか?良くて1割とすると、50件。この50件を数社の会計事務所で奪いあうと考えるとあまりやる気が起きないのではないでしょうか。

でも決して、若い税理士に開業するなっと言っている訳ではありません

しっかりとした経営計画を立てて独立しましょう!と言うことです。
HP作って、マーケティング頑張って、集客しよう的な、軽いノリで独立しても絶対うまくいきません。

・ネットから受注できなかったらどうする?どこに営業にいく?どうやって仕事とる?

・特に家族がいる場合には、貯蓄でどれくらいの期間、無収入で耐えれるか?

と言うのを開業した後に考えていたのでは遅いです。
少なくとも開業の1年くらい前から、開業の準備は整え、ある程度仕事が取れる見込みがついたところで開業すべきです。

例えば、勤務中でも人脈作りはできます。いろいろなところに顔を出して、

「私がもし独立したら仕事もらえます??」

と言うような約束を、取りましょう。
この約束が独立前に取り付けられなかったら、独立したとしても仕事が取れるはずがないと思いませんか?

とは言っても、独立は楽しいですよ!

42649794 - happy business people having fun in office

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今まで、独立開業に関するマイナス面ばかり話してきましたが、もちろん自分で独立して事務所をやるというのは楽しいです!

初めは自宅・レンタルオフィスから、そして軌道にのって初めてオフィスを借りたときの楽しさ。初めて仲間が加わったときの楽しさ、もちろん、第一号のお客様ができたときの楽しさ。営業してうまくいったとき、報酬の入金があったとき、オフィス移転先を選んでいるとき、採用面接、新しいビジネスプランを考えている時、取引先がどんどん広がっていく瞬間。

楽しい瞬間は数えきれないほどあります。

もちろん、現実、厳しい、つらい面もいっぱいあります。

キャッシュフローがうまくいかなかたっとき、仕事がない期間、従業員に裏切られたとき、仕事でミスしてお客様に怒られたとき、給与が払えなくなったとき、人がどんどん辞めていくとき、詐欺にあったとき。

などなど、でも、やっぱり楽しいです。

今、チェスターはうまくいっているから当然楽しいだろうと言われそうですが、うまくいく前の開業当初もすごく楽しかったですし、つらいときがあったときも含めても、総じて楽しいです。

じゃあ、独立開業してうまくやるにはどうしたらよいかを少しだけお話しします

開業前にしっかりと計画・準備をしましょう!
まずは、自分の強みを最大限に生かして「どういった税理士事務所」にしたいかを明確にしましょう。

レッドオーシャンではなく、ブルーオーシャンを探しましょう。

そんなのもうないよ~

って、ことは絶対ないです。

大手の資本力のあるところがひしめき合っている市場・分野に参入するよりも、独立したての若い税理士はもっとニッチな分野で勝負すべきです。

例えば、業種特化。

医業専門は有名なところはありますが、地域によってはまだまだ参入の余地はあるのではないでしょうか。

また、飲食業専門は事務所の場所が重要な要素となりますので、近隣にそういったお店がおおくライバルがいない場所はまだまだあるでしょう。

あとは、例えば建設業専門、町工場専門、小売専門、不動産専門などなど、業種特有の慣習やルールがあるような業種ほどチャンスです。その業界のことを必死に勉強して、その業界のことならどの税理士よりも私が詳しいですという状況にもっていけば営業&受任は比較的容易にできるでしょう。

さらに、士業専門税理士なんてのも面白いかもしれません。弁護士の顧問税理士。会計事務所の顧問税理士。司法書士の顧問税理士などなど。

また、税目特化もまだチャンスはあると思います。

相続税はすでにレッドオーシャンですが、例えば、所得税専門、消費税専門、国際税務専門、税務調査専門、固定資産税専門等もまだ未開拓の分野はあるかもしれません。

さらに別の視点で、クラウド会計専門税理士、訪問対応なし限定顧問、逆に月1絶対面談顧問、すべて丸投げ税理士、スポット相談のみ税理士などなど。

なお、開業に関する事務的なことは、「税理士開業パーフェクトガイド2016」を参考にして下さい。

まとめ

税理士として開業するのは楽しいけど、よく考えて計画的に始めましょう!
相続税の分野、レッドオーシャンにとりあえず参入せずに、ブルーオーシャンを探して、まずは初めてみましょう!

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