構築物の相続税評価を条文で確認しながら解説

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構築物の相続税評価を条文で確認しながら解説

土地の上に作られた有形固定資産には「建物」「建物付属設備」「構築物」などがあります。そのうち「構築物」は建物以外の工作物のことをいい、具体的には塀や庭園、広告塔、舗装路面などを指します。今回は「小規模宅地の特例」にも絡んでくる構築物について見ていきましょう。

1.構築物の相続税評価を示した条文

1-1.構築物とは?

会計用語としての構築物は、「土地の上に建てられた建物以外の工作物」で「建物に付属しないで機能する設備」も含みます。敷地を区切るための塀やフェンス、防壁、堤防、トンネル、橋梁、煙突、貯蔵用タンク、ため池、ダムや屋外広告塔などはもちろん、線路や枕木のような鉄道事業用設備、電線やアンテナのような通信事業用設備、アスファルトやレンガなどで舗装された路面や道路、モールや駅前などに設置されている花壇や庭園も「土地の上に建てられた建物以外の工作物」で「建物に付属しないで機能する設備」であるため、構築物に該当するものです。

「小規模宅地の特例」でよく登場する構築物が駐車場設備でしょうか。
構築物の定義は「アスファルトやレンガなどで舗装されていること」ですので、アスファルトが敷いてあり、立体駐車場になっている場合は、構築物に該当しますが、舗装も何もしていない地面がむき出しの駐車場なら、構築物には当てはまりません。

砂利敷きの駐車場は構築物に該当しますが、砂利が少なくなり地面に埋もれてしまっているような場合は「宅地への転用が簡単にできる」とみなされ、該当しなくなります。

1-2.構築物の相続税評価を条文で確認

構築物を相続することになれば、当然、相続税が発生します。

構築物の評価は相続税評価基本通達第4章96において「構築物(土地又は家屋と一括して評価するものを除く。以下同じ。)の価額は、原則として、1個の構築物ごとに評価する。ただし、2個以上の構築物でそれらを分離した場合においては、それぞれの利用価値を著しく低下させると認められるものにあっては、それらを一括して評価する」とあります。
構築物の評価単位は、固定資産台帳において1つの物件として登録されているもののことです。固定資産台帳には、取得価額が10万円以上の構築物が登録されます。なお、2個以上で構成される構築物で、それぞれを分離すると利用価値が下がってしまうようなものに関しては1つの構築物として評価します。

また、構築物と土地を一括して評価することが妥当であるもの、構築物が付属している家屋と一括して評価することが妥当であるものは、構築物評価の例外として、土地または家屋と一括して評価をすることになっています。

2.構築物の相続税評価の算式と方法

2-1.構築物の評価のやり方

構築物の具体的な評価方法については、相続税評価基本通達第4章97に「構築物の価額は、その構築物の再建築価額から、建築のときから課税時期までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。)の償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額の100分の70に相当する金額によって評価する。この場合における償却方法は、定率法によるものとし、その耐用年数は耐用年数省令に規定する耐用年数による」とあります。

なお、構築物の耐用年数は「価償却資産の耐用年数等に関する大蔵省令」から設定し、定率法は「所得税法施行令第120条の2第1項第2号ロ」または「法人税法施行令第48条の2第1項第2号ロ」に規定する定率法を用います。

条文に書かれていることをわかりやすく計算式にすると

評価額=(構築物の再建築価額-築年数の償却費合計額または減価額)×0.7

となります。

再建築価額とは、評価基準日に新たに同じものを作る場合の費用のことです。つまり、構築物は築年数とともに価値が下がっていくタイプの財産であり、評価時点での価値の70%が評価額になる、というわけです。

2-2.構築物が文化財建造物である場合

所有する構築物が文化財と指定されると、維持管理や修復などに制約を受けるようになるため、課税に関しては特別な方法を用います。相続税の評価も文化財用の評価方法で行います。

相続税評価基本通達第4章97-2では「文化財建造物である構築物の価額は、前項の定めにより評価した価額から、その価額に24-8((文化財建造物である家屋の敷地の用に供されている宅地の評価))に定める割合を乗じて計算した金額を控除した金額によって評価する」となっています。
要するに、文化財は維持管理費がいっぱいかかるから、相続税の評価は文化財割引をしてあげましょう、というわけです。

なお、「文化財建造物である家屋の敷地の用に供されている宅地の評価」での控除割合は、重要文化財は0.7、登録有形文化財と伝統的建造物は0.3となっているので、文化財に指定されている構築物の評価額は、重要文化財なら通常の評価額の30%、登録有形文化財と伝統的建造物なら通常の評価額の70%になる、というわけです。
文化財建造物である構造物の評価方法を計算式にすると

評価額=評価額-評価額×控除割合

となります。

たとえば、通常の評価額が1,000万円の構築物が、
重要文化財なら1,000万円-1,000万円×0.7=300万円
登録有形文化財・伝統的建造物なら1,000万円-1,000万円×0.3=700万円
となります。

なお、建造物や工芸品、古文書など形あるもので芸術的、学術的に価値が高いものを有形文化財といい、その中でも特に重要だと文部科学大臣が指定したものが重要文化財、重要文化財の中でも価値が高いと指定されたものが国宝です。
重要文化財や国宝は国や自治体が指定しますが、所有者自身が指定し登録された文化財を登録指定文化財といいます。伝統建造物は、周囲の環境と一体化している伝統的な建造物のことで、1つだけではなく函館の港町や金沢の城下町、京都のように歴史的な景観を持つエリアが丸ごと指定されるのが一般的です。

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