共有持分の放棄と課税関係、放棄と贈与の違いとは?

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ご夫婦で共同でご自宅を建築、建築資金を半分づつ負担した場合など
その建築物に所有権はご夫婦の共有財産となり、共有持分はそれぞれ1/2づつとなります。
このように複数の人が同じ財産を所有している状態で、それぞれが持つ持分を共有持分と言います。

ご自宅の建築資金以外にも相続によって共有持分が発生するというケースもあります。
相続した共有持分を放棄することはできるのでしょうか?
共有持分の放棄と課税関係や放棄と贈与の違いなどをご紹介します。

1.共有持分とは

共有持分は主に不動産で使用される表現です。
不動産の場合、所有権というものがあります。
この所有権を複数人で所有している場合に、それぞれがもつ所有権の割合を共有持分と言います。

共有持分を持つ人を共有者と言い、共有者はそれぞれの持分に応じた使用が可能です。
保存行為など共有物を維持するための行為に関しては単独行為が認められていますが、
管理行為や共有物の建て替えなど現状から変更する場合には、共有者の一定の数の同意を得る必要があります。

2.共有持分の放棄と課税関係

相続税基本通達では共有者の1人が共有持分を放棄した場合、又は死亡した場合の扱いについて下記のような解釈を記載しています。

2-1:共有持分を放棄した場合

共有持分を放棄した場合、他の共有者に帰属する形となります。
この場合、民法では単独行為となり贈与には該当しないことになります。

しかし、相続税法上ではみなし贈与となり贈与税が課税されます。
共有者が複数いる場合には、それぞれの共有持分の割合に併せて放棄された持分が帰属されます。

2-2:共有者が死亡した場合

共有者の1人が死亡した場合には、亡くなった共有者に相続人がいる場合には、相続財産となり相続人に共有持分の権利が移行します。

この場合、共有持分は相続税の課税対象となります。
亡くなった共有者に相続人がいない場合には、放棄と同様に他の共有者に帰属する形となります。

この場合も遺贈による取得ということになるため、相続税の課税対象となります。
亡くなった共有者と他の共有者が二親等以上離れている場合、相続税の2割加算の対象となります。

3.共有持分の放棄と相続放棄

相続の放棄について、民法第898条では「相続財産は相続人の共有に属する」と規定されているため、相続人が相続放棄した場合には、共有持分は他の相続人に対する贈与と判断されるように思いますが、相続放棄した人は、当該相続については初めらか相続人ではないとみなされるため、共有持分を持っている共有人には該当しないという判断になります。

そのため、相続放棄に伴う持分の変更に関しては、共有持分の放棄とは判断が異なることになります。

4.共有持分の放棄と贈与に違いはあるの?

贈与税が課税されるという点では、放棄も贈与も同じです。
しかし、細かい部分では違いがあります。
違いをしっかりと理解し、放棄すべきか贈与すべきかを判断するようにしましょう。

4-1:引き継ぐ相手の特定

共有持分の放棄の場合には、共有者に帰属するということになり、複数の共有者がいる場合には、それぞれの持分割合に応じて帰属される形となります。
そのため、特定の人の共有持分のみを増やすということは出来ません。

一方、共有持分の贈与の場合には、他の共有者の1人に贈与することも、第三者に贈与することも可能です。
特定の人に自分の持分を渡したいという場合には贈与によって渡すことになります。

4-2:取得時期と取得費の判断が異なる

共有持分を放棄又は贈与によって取得した人が、その持分を売却した場合に譲渡所得税が課税されます。
譲渡所得税の課税対象となる譲渡所得は下記の算出式を用いて計算します。
算出式の「取得費」が共有持分の放棄によって取得したのか、贈与によって取得したのかによって異なります。

放棄によって取得した場合には、取得時期と取得費が引き継がれることはなく、贈与税が課税された時点での時価を取得費と判断します。

贈与の場合には、取得時期と取得費が引き継がれることになり、贈与税の時価課税、売却時の時価課税と二重課税されることになります。

5.共有持分の放棄に必要な手続き

共有持分の放棄は、共有人の単独行為となるため自由に放棄を行うことが出来ます。
特別に必要な手続きはありませんが、持分放棄に伴い、所有移転登記には放棄する共有人と他の共有人が共同で手続きを行う必要があります。

まとめ

共有持分の放棄は単独行為となり、ご本人の意思で放棄を行うことが出来ます。
放棄でも贈与でも贈与税の課税対象となる点に変わりはありませんが、引き継ぐ相手の特定や引き継いだ人が売却する際の譲渡所得に対して違いが生じます。

共有持分を放棄することを検討されている場合には、専門家と相談しながら最善の方法を検討するようにしてください。

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