売買契約中に相続が発生した場合の小規模宅地等の特例

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宅地等の売買契約中に相続が生じた場合、実務上、小規模宅地等の特例を適用することができないと解釈するのが通例となっています。その具体的な理由と、相続人となった売主および買主双方の財産評価の方法について、確認していきましょう。

1.売買契約中に相続が発生した場合、原則として小規模宅地等の特例が使えないワケとは

ある土地の売買契約を締結したあと、実際に土地の引き渡しを待たずに、売主あるいは買主が亡くなった場合には、売買契約中に相続が発生することとなります。その際、小規模宅地等の特例が適用できるか否かは、相続人が取得する財産を土地所有権と解釈するか、土地の売買契約自体と考えるかによって異なります。

そもそも、「小規模宅地等の特例」とは、亡くなった方やご遺族が居住用や事業用として利用していた土地の一定面積に限り、相続税が50%または80%減額される制度です。したがって、土地の売買契約中に相続が発生した場合、相続人が土地所有権を相続すると考えれば、条件次第で小規模宅地等の特例が受けられる可能性があります。

しかしながら、実務上では、売買契約中に相続が発生した場合、相続人は土地所有権ではなく、土地に付与されている売買契約を相続すると考えるのが一般的です。すなわち、売主の相続人であれば売却代金請求権を相続することになりますし、買主の相続人であれば土地の引渡請求権を相続することになります。したがって、売買契約中の土地を相続する際には、小規模宅地等の特例は適用できないと結論づけられます。

ちなみに、相続税法や評価通達の中で、売買契約中に相続が発生した場合の小規模宅地等の特例の適用に関して、特段の定めはありません。

2.売主・買主の売買契約中の相続開始の財産評価

2-1.売主側における財産評価の方法

売買契約中に売主が亡くなった場合、その相続人は、契約対象の土地等の所有権ではなく、売却代金の請求権を相続することとなります。

例えば、売主であった被相続人が5,000万円の土地を売却する契約を締結し、買主側から手付金2,000万円を受け取っている場合には、3,000万円が未収代金となります。したがって、相続人が引き継ぐ財産として、3,000万円の債権(売却代金請求権)と受領済みの手付金2,000万円を計上するのが正解です。

2-2.例外も認められる買主側における財産評価の方法

土地等の売買契約中に買主が亡くなった場合には、上記と同様の原則的な考え方に基づき、対象となっている土地等の引渡請求権を、相続人が継承することとなります。その際、土地等の引渡請求権を「債権」として相続財産に計上するとともに、売主側へ未だ支払っていない残金は「債務」として計上します。例えば、被相続人が2億円の土地等を購入する契約を締結しており、支払い済みの代金が2,000万円だと仮定すると、債権は2億円、債務は1.8億円です。

ただし、買主側には例外が存在し、契約対象の土地等を相続人が税務申告することも認められています。したがって、売買契約中の土地であっても、土地自体として相続財産に含めることが可能です。その際の土地の相続税評価額は、通常の場合と同様、路線価等を用い財産評価基本通達に基づいて算出した評価額とします。必要な条件を満たしていれば、小規模宅地等の特例を適用することも可能です。

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