「利用価値が著しく低下している宅地」4つの具体例を詳細解説

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ここでは、「利用価値が著しく低下した宅地」として10%評価減できる宅地について詳しく解説していきます。
明確な基準がない規定だけに判断が難しくなっており、個々のケースごとに判断する必要があります。

1.利用価値が著しく低下している宅地とは?

国税庁が公表する「No.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価」によると、以下の4つの条件のいずれかに当てはまり、かつ土地評価額にその要因が考慮されていない場合に、利用価値が低下しているとみなされる部分の面積の土地評価額のうち、10%を減額すると定められています。

(1) 道路より高い位置にある宅地又は低い位置にある宅地で、その付近にある宅地に比べて著しく高低差のあるもの

(2) 地盤に甚だしい凹凸のある宅地

(3) 震動の甚だしい宅地

(4) 1から3までの宅地以外の宅地で、騒音、日照阻害(建築基準法第56条の2に定める日影時間を超える時間の日照阻害のあるものとします。)、臭気、忌み等により、その取引金額に影響を受けると認められるもの

国税庁HP|タックスアンサー「No.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価」より)

4つの条件が提示されているものの、「著しい」「甚だしい」など、具体的な数値は示されておらず、判断が難しい場合もあります。そこで、過去の裁判事例などをもとに、具体的な基準を考えていきましょう。

2.高低差は何mあれば減額対象となるか?

はじめに、周辺の宅地との高低差が何mあれば減額、という明確な決まりはありません。減額対象になる宅地か判断するには、周辺の住宅と道路の高低差を調べ、その宅地だけに著しい高低差が生じているかどうかが大きなポイントになります。たとえば、道路を基準として3m高い位置に宅地があったとすると、階段やスロープを設置しないと道路に出られない等、生活に不便が生じます。この場合「利用価値が著しく低下している」と言えそうですが、周囲の住宅を調査した結果、ほかにも同様の条件の住宅が複数見られた場合には、減額が認められないケースも多く発生しています。

なお、こちらの論点についてさらに詳しく知りたい方は、「高低差がある場合の土地の評価」を参照して下さい。

3.地盤に甚だしい凹凸のある宅地・震動の甚だしい宅地とは?

地盤の凹凸とは、もともとの地形や災害などが原因で、宅地内の地盤の高さがバラバラになっている状態を指します。地盤に大きな凹凸がある宅地は、杭や柱を立てて補強したり、コンクリートや土で埋め立てたりと基礎工事に手間がかかるものです。その費用を考慮して、評価額の減額が適用される可能性があります。

振動の甚だしい宅地にあたるのは、大通りに面しておりトラックなどが通る度に振動が伝わる宅地や、近くに工場などがあり、機械の振動が伝わる宅地などです。「甚だしい」に該当するかどうかは、個々の状況に合わせて判断していく必要があります。

4.騒音、日照阻害、臭気、忌み等により、その取引金額に影響を受けると認められるものの具体例

騒音は、主に空港や線路、幹線道路の付近にあり、乗り物の騒音が激しい宅地が該当します。ただし、空港や線路、道路の付近にある宅地が全て減額の対象になるわけではないため注意しましょう。

ある事例では、鉄道沿線から20mの範囲内で60デシベルを超える騒音が発生しており、減額が認められています。明確な根拠にはなりませんが、判断基準として参考になるでしょう。

一方で、日照阻害は「建築基準法第56条の2に定める日影時間を超える時間の日照阻害のあるもの」と明記されているため、比較的判断しやすい項目です。

では、臭気や忌みとは何を指すのでしょうか。具体的には、養豚場や送電線、化学工場、ごみ処理施設、墓地、葬儀場などです。実害の有無に関係なく、土地の取引に悪影響を与えると考えられる要因には、減額が適用されることがあります。

5.迷ったときには不動産鑑定士に意見を聞くとよい

減額対象の宅地かどうか判断しかねる場合は、不動産鑑定士を訪ねるとよいでしょう。不動産鑑定士とは、地域の事情や地形などの環境から、不動産の有効な活用方法を判断する専門家です。不動産鑑定士試験に合格すると、国土交通省の「不動産鑑定士名簿」に登録されて、不動産のエキスパートとして認められます。

土地については幅広い知識を持っているため、対象の宅地の価値低下が「著しい」「甚だしい」にあたるのか判断するヒントになるでしょう。

6.まとめ

利用価値が著しく低下している宅地の評価についてご紹介しました。細かい規定がなく、事例によって判断が分かれる難しい制度ですが、広い土地を相続する方にとっては相続税が大きく節減できる機会であるため、慎重に判断する必要があります。

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