「生計を一にする」の定義(所得税・相続税)

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「生計を一にする」の定義(所得税・相続税)

税法では、「生計を一にする」という言葉が使われることがありますが、どういった意味で用いられているのでしょうか。また、所得税や相続税において、「生計を一にする」が使われるケースについて、解説していきます。

1.「生計を一にする」という言葉の税法上の意味

税法上、生計を一にするとは、納税者と生計を同一にしていることをいい、必ずしも同居は要件ではありません。

就業や就学、療養上の都合で、日常的に他の親族と同居することは難しいケースもあります。就業や就学で離れて暮らす場合には余暇は他の親族と共に過ごす、生活費や学費、療養費などの費用を送っているといった実態があれば、生計同一とみなされます。つまり、地方で暮らす両親が都市部の大学に通う子供に生活費や学費を送っているケース、父親が単身赴任で家族に生活費等を送金しているケースなどは、生計を一にしているとみなされるのです。

一方、同居している場合には、明らかに独立した生計を営んでいるケース以外は、生計を一にしているとみなされます。たとえば、共働きで夫と妻が共に収入がある場合でも、扶養の有無は生計同一という定義には関係せず、家計の一定の負担割合を決めている場合にも、生計を一にしていることになるのです。明らかに生計が別とみなされるケースは、住民票の世帯が別であり、資産や収入を別で管理する、水道光熱費を別々に支払う、食費を別に管理して食事も別でとるといったケースで、総合的に勘案されます。

2.所得税で使われる場合

所得税で、生計を一にする親族に対して控除を受けられる例を挙げます。

2-1.老人扶養親族控除

所得税の扶養親族控除の中でも、70歳以上を対象とした老人扶養親族控除では、同居の有無によって控除額に違いがあります。同居はせず、生活費等の仕送りをしている場合の所得控除額は48万円ですが、同居している場合には58万円です。

2-2.医療費控除

医療費控除は、生計を一にする配偶者や子供など親族の分をまとめて、確定申告することができます。扶養は条件とはならず、同居していない場合でも該当するケースもあります。共働きの夫婦でも、生計を一にしていて、妻の医療費を夫が支払っている場合には、夫の医療費控除の対象です。年金などの生活費が少なく、仕送りで生活をしている別居の親の医療費も含めることができます。

3.相続税で使われる場合

相続税の小規模宅地等の特例では、「被相続人の居住用の宅地」のほか、「被相続人と生計を一にしていた親族の居住用の宅地」や「被相続人や被相続人と生計を一にしていた親族の事業用の宅地」なども対象となります。

「被相続人と生計を一にしていた親族の居住用の宅地」は、被相続人と別居しているケースです。生活費の援助を受けていた、水道光熱費が非相続人の口座から引き落としされていたといった実態があると、生計を一にしていたと判断されます。

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