ジョイント・アカウントと相続税

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ジョイント・アカウントとは、2名以上で1つの銀行口座を共同所有できる銀行口座です。夫婦で作成する口座が一般的ですが、家族に限らず、友人や知人でも作成が可能です。
メリットとして、共同口座のいずれか一方のみのサインで引出ができるように設定をしていると、夫の資金を妻が自由に生活費として引き出すことが出来ます。

また、名義人の一方に相続が起きた際にも、生存者権利取得口座(Survivorship Account)にしておくと、プロベートを経ずにもう一方の名義人に口座が引き継がれるため、プロベートを回避することが出来ます。

日本の銀行では共同名義口座が禁止されているため、ジョイント・アカウントを作成することが出来ません。

1.ジョイント・アカウントと贈与税

ジョイント・アカウントの設定時、引出時に生じる日本の贈与税は次の通りです。

1-1.ジョイント・アカウントの資金の入金時

ジョイント・アカウントの場合、名義が夫婦2名であっても、その口座の実質的な所有や管理が夫の1名だけであれば、その口座の実質的な管理者は夫であるため、贈与があったとはみられません。日本の相続で扱われる妻の名義預金のように、共同名義であっても、その口座の出資者が夫の収入であれば、夫の財産として扱うため、生前中に日本の贈与税は課税されません。

1-2.ジョイント・アカウントから引き出した時

資金元が夫の収入であるジョイント・アカウントを妻が生活費として引き出して使用している場合には、その引出が扶養義務者からの通常の日常生活に必要な生活費であれば、贈与税の非課税財産となるため、日本では贈与税が課税されません(相法21の3)。
一方、引き出した資金で、妻が自分名義の高価な資産を購入した場合、又は引き出した財産を妻名義の口座に移管した場合には、贈与税が課税されます。

また、海外のジョイント・アカウントを解約して、日本国内の口座へ送金する際は、資金の拠出割合に応じて、それぞれの名義口座に資金を移動しなければ、贈与税の問題が生じてきます。

2.ジョイント・アカウントと相続税

名義人の1人に相続が発生した場合、生存者権利取得口座にしておくとジョイント・アカウントはプロベートを経ずに生存名義人に自動的に口座名義が移管します。その口座の資金源を拠出していた名義人、管理及び支配をしていた名義人が死亡した場合には、その拠出割合相当額が日本の相続税の対象財産となります。

3.ジョイント・アカウントは私法上の相続財産か~判例より~

平成26年11月20日の東京高裁の判例で、ジョイント・アカウントが私法上の相続財産に該当するか否かについて、日本の課税上相続税の課税対象にはなるが、私法上の相続財産に該当しない、という判断が下されています。

被相続人は、不動産と金融資産の10分の4を妻に、金融資産の10分の6を先妻の子に相続させる旨の公正証書遺言を作成していました。相続が発生し、ハワイ州にあった被相続人と妻とのジョイント・アカウントについて、相続財産を構成して遺言の記載通りに分割すべきか否か、争いになりました。

裁判所の判断は次の通りで、分割対象となる相続財産には該当しない、という判断でした。

  • 被相続人は日本人のため相続の準拠法は日本になるが、個別の財産の相続の客体になり得るか否かについては、その財産に内在する権利関係を取り扱う法律行為の成立および効力の準拠法により判断すべきである。
  • バンクオブハワイとの預金契約では、預金口座の所在する地の法律、つまりハワイ州法によると定められているため、その財産の権利関係はハワイ州法により判断すべきである。
  • ハワイ州法によると、ジョイント・アカウントは共同名義人の一人の死亡により、自動的に生存名義人がその財産を所有することになり、死亡名義人の遺産を構成しないことが明示されているため、相続財産を構成しない。

4.その他の口座

ジョイント・アカウントの他、預金口座の死亡時受取人指定口座(Payable on death account)の設定により、プロベートを経ずに名義を受取人に移管することが出来る制度があります。また、預金口座だけでなく、証券投資口座についても、同様に、受取人指定口座(Transfer on death account)の設定により、プロベートを経ずに、口座名義を生前に指定した死亡時受取人に移管することが出来ます。

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