「1か月前に10万円で購入したベッド」の相続税評価はいくら?

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突然ですが、相続税の財産評価の問題です。

Question
「相続開始30日前に15万円購入したダブルサイズのベッド一式」
の相続税評価額を計算しなさい。

結論から言うと、相続税の実務においては、“評価ゼロ”となります。

なぜ、そうなるかは順を追って説明します。

【間違った回答例】

ベッド一式は、財産評価基本通達に当てはめると、“一般動産”となります。
一般動産の評価方法は、以下の通りです。

【財産評価基本通達129】(一般動産の評価)
一般動産の価額は、原則として、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する。ただし、売買実例価額、精通者意見価格等が明らかでない動産については、その動産と同種及び同規格の新品の課税時期における小売価額から、その動産の製造の時から課税時期までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。)の償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額によって評価する。(昭41直資3-19・平20課評2-5外改正)

この通達を読んで、ベッド一式は、“売買実例価額、精通者意見価格等が明らかでない動産”と判断、そのため、新品の小売価額=購入価格と考え、そこから減価償却費を控除して評価をする。ベッドの耐用年数は、8年。購入時より1年未満ですので、1年分の減価償却費を計算して、それを控除した金額を相続税評価とする。

と、解説してきましたが、これは誤り、だと私は考えます。

専門家の視点等は関係なく、普通に考えてみて下さい。
30日前に買ったダブルサイズのベッド、果たしていくらで売れるでしょうか?
買い取り業者を調べて、引き取りに来てもらったところで、おそらく引き取り価格は限りなくゼロ円に近いでしょう。

通達にも出てきます、「売買実例価額」ですが、おそらくこれはありません。中古車のように買い取り相場をインターネットで調べることもできないでしょう。ただ、ここで、通達の後半「売買実例価額、精通者意見価格等が明らかでない動産」に進むのではなく、このケースでは、相続税法第22条を適用します。

【相続税法22条】(評価の原則)
この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。

つまり、相続によって取得したときの時価で評価するというのが、相続税の財産評価の大原則です。時価の概念は突き詰めれば複雑で理解しにくいですが、動産の場合の時価は、イコール“換金価値”と考えて良いでしょう。つまり、相続開始時点でいくらで売れるか?です。

そう考えると、このベッド、時価はゼロ円。つまり、相続税評価はゼロ円となります。

如何でしたでしょうか?

相続税申告の実務では、受験勉強や理論とは異なりケースバイケースで様々な対応を柔軟にとる必要があります。一概に、購入費や金額だけで判断はできません。例えば、30日前に15万円で購入したブランド物のハンドバックであればどうでしょうか?ハンドバックであれば、状態が良ければ質屋に持ち込めば数万円の価値は付くでしょう。その価値を相続税評価として採用すべきです。

ベッドの場合は、買い取り業者の引き取りコストや在庫管理のコストがかかるので、15万円程度のベッドでは値段がまずつきません。

いやいや、ヤフオクで売ったら、5万円くらいで売れるんじゃないの?
という意見もあるかもしれません。

確かに、売れるかもしれません。よって、その5万円で財産評価をしても、間違いではないでしょう。
ただ、理論的に考えると、間違いではないかもしれませんが、相続実務で考えると、0円で評価するのが正解だと思います。

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