小規模宅地の有利判定を簡単に行う方法

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住宅に大きな相続税がかかると生活ができなくなることから、被相続人と一緒に住んでいた小規模な土地なら相続税を80%減額する、というのが小規模宅地等の特例です。対象地が複数あり、貸付事業用がある場合には最も有利になるように選択する必要が出てきます。
そこで、小規模宅地の有利判定を簡単に行う方法を見ていきましょう。

1.小規模宅地の有利判定は平米単価で

小規模宅地の特例を適用できる宅地が複数存在し、さらに貸付事業用が含まれている場合は、有利になるものから特例を適用していくので、優先順位を決めなくてはなりません。
貸付事業用が含まれるとややこしくなるのは、貸付事業用だけ限度面積や減額割合が異なり、按分計算で限度面積を出す必要があるためです。
有利判定をしやすくするために、まず特定居住用、特定事業用、貸付事業用、それぞれ以下の係数を出しておきます。

特定居住用 330×80%=264
特定事業用 400×80%=320
貸付事業用 200×50%=100

減額割合が同じである特定居住用と特定事業用は完全併用が可能なので、有利判定には関わってきません。限度割合が異なる「特定居住用と貸付事業用」「特定事業用と貸付事業用」のパターンの時に有利判定が必要になってくるのです。
この係数を使えば、割合の異なるパターンでも有利判定が行えるようになります。

2.「特定居住用」と「貸付事業用」の比較は㎡単価×2.64倍で

特定居住用と貸付事業用のどちらで適用するべきかの有利判定は、貸付事業用が100、特定居住用が264という係数に着目します。
特定居住用は、貸付事業用の2.64倍なので、特定居住用宅地の1㎡単価に2.64かけたものと、貸付事業用宅地の1㎡単価を比較すれば、どちらが有利かわかります。
単価が高いものの方が、特例による節税効果が高くなるわけですから、特定居住用×2.64>貸付事業用なら特定居住用で適用、貸付事業用>特定居住用×2.64なら貸付事業用を適用します。

3.「特定事業用」と「貸付事業用」の比較は㎡単価×3.2倍で

特定事業用と貸付事業用の比較も、先ほどと同様です。
貸付事業用が100、特定事業用が320なので、特定事業用1㎡単価を3.2倍してみて、単価を比較します。
特定事業用より貸付事業用が3.2倍以上高い場合、貸付事業用から優先して小規模宅地の特例の適用を受けた方が有利になります。
貸付事業用<特定事業用×3.2なら特定事業用で適用した方が有利です。

4.「特定事業用」と「特定居住用」は有利判定不要

特定事業用と特定居住用は減額割合が同じなので、按分計算が不要になります。どちらを適用しても結果は同じなので、有利判定は不要というわけです。
また限度面積に関しても、特定居住用の330㎡と特定事業用の400㎡は完全併用が認められており、単純に合計することが可能で、あわせて730㎡まで適用が認められています。

5.「配偶者の税額軽減」や「2割加算」が絡むケースは要注意

5-1.配偶者の税額軽減が絡むケース

父親が亡くなり、母親と子のどちらかが土地を相続することになったとします。
二人とも小規模宅地の特例が使えるなら、一次相続で土地を相続するのは配偶者と子のどちらが有利になるでしょうか。
配偶者は相続税の税額軽減があるので、宅地を相続しても相続税については安く抑えられる可能性があります。配偶者が特例を使ってしまうと、子の相続分には何の配慮もありません。
子が小規模宅地等の減額特例の適用を受ける方が、相続税の金額は抑えられるのです。

5-2.2割加算が絡むケース

では、相続人に2割加算対象者がいる場合はどうでしょうか。2割加算対象者とは配偶者、一親等の血族以外の相続人のことです。
子と2割加算対象者とで財産を2分の1ずつ相続し、子が土地を相続して小規模宅地を適用したとすると、2割加算対象者の相続税は規定通り2割増しになります。
2割加算対象者が特例が適用して土地を相続しても、子の相続税は2割増しではありませんから、小規模宅地の特例を使うなら、子より2割加算対象者の方が少し納税額を抑えられるのです。
小規模宅地の特例を使う際、配偶者の税額軽減や2割加算が絡むケースは注意しましょう。

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