「総則6項」で相続税の悪質な節税対策は封じられる

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「総則6項」で相続税の悪質な節税対策は封じられる

より多くの財産を後継者に残すためには、相続税の節税対策が欠かせません。しかし、悪質な節税対策は国税庁の「総則6項」によって封じられる可能性があります。このページでは、総則6項の概要や、総則6項が存在する理由などについてご紹介しましょう。

1.「総則6項」(財産評価基本通達 第1章総則6項)とは?

「総則6項」の総則とは、国税庁「財産評価基本通達」第1章の総則を指します。
まずは「財産評価基本通達」の概要について簡単にご説明しましょう。

1-1.国税庁が定めている「財産評価基本通達」とは

財産評価基本通達とは、さまざまな財産の価格評価基準を定めた通達のことです。
国民の相続税や贈与税は、この「財産評価基本通達」に沿って算出されます。ちなみに通達とは、あくまで行政が法律の解釈や指針などを知らせるためのものであり、法ほどの強制力はありません。しかし通達と著しく異なる法解釈をした場合は国から指摘を受ける可能性があるため、注意が必要です。

1-2.「財産評価基本通達」第1章には何が書かれている?

財産評価基本通達は全8章で構成されており、冒頭の第1章には基本通達全体に通じるルールが簡易的にまとめられています。本ページの主題である「総則6項」は、第1章の最後に記載されている項目です。

財産評価基本通達 第1章 総則
6 この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。
引用:国税庁 財産評価基本通達6(この通達の定めにより難い場合の評価)

このように総則6項では、「たとえ基本通達上では問題のない財産評価であっても、あまりに行き過ぎた節税があった場合は、国税庁長官の指示のもと財産評価を適正に直す」という表記がなされています。
なぜこのような項目が加えられているのでしょうか。

2.「総則6項」が存在する理由と意義

総則6項が存在する理由は、「法の抜け穴に対応するため」「税制の公平化のため」などの要因が挙げられます。

2-1.タワーマンションを活用した節税が問題に

たとえば2016年には、タワーマンションを活用した相続税対策が問題となりました。

タワーマンションの高層階は、財産評価基本通達上での価値と、実際の時価とが乖離しやすいという特徴があります。よって「現金でタワーマンションの高層階を購入→子どもに相続し、(現金で相続するよりはるかに安い)相続税を支払う→高層階を売却する」という手順によって節税が可能です。富裕層を中心にこの節税方法が注目されたことにより、政府はタワーマンション高層階への増税を検討するなど、対策に乗り出しています。

上記の問題は、財産評価基本通達上では適正ですが、法律の予期しない過度な節税といえます。このように法令および通達は、すべての事例をカバーできるわけではありません。財産評価基本通達の「総則6項」は、刻々と進歩する節税対策に対応するための手段といえるでしょう。

2-2.総則6項が適用される基準は?

「総則6項がどのような基準で適用されるのか」については、明確なルールがありません。ただ、明らかに節税目当てと思われる行為(相続直前に、時価と財産評価が乖離しやすい資産を購入し、相続後に即売却する)は不適当とみなされる可能性が高いため、注意が必要です。

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